エピソード2〜気づき  


      

         中に入ると、よく見慣れた題名の本が並んでいた。


        
         勝ち組と負け犬の違い・・・・


         今度こそできる!!・・・・・・・


         フリーターが2億円を稼いだ!!・・・・



         僕の心にはそれらは強く突き刺さった。

         全てこのようなものはまやかしであり、人をだますため

         に存在していると思った。



         さらにくまなく探検していると、ある本をみつけた。





         「君のために捧げたある教師の一生・・・・・・」





         それはある教師が、ガンで死ぬことを宣告された生徒

         と伴に大学受験を目指す話であった。

         
         死ぬことが分かっているのに、なぜ、大学受験なのだ?

         
         滑稽に思えもしたのだが、僕はそれを持ち、出口にある

         レジの方に向かった。




         僕はかつて、留学していたことがある。サンフランシスコだ。

         学校の成績は優秀なほうだったと思う。

         
         なのに、なぜ、僕は事業に失敗したのだろう?


         そもそも、僕は教師になりたかった・・・・・


         だからこの本に惹かれたのだろうか?

         一気に本を読み終えた後に無性に泣けてきた。

         
         そしてもう一度やりなおす決心をしなければならないことに

         気が付いた。






         何年ぶりだろう?机に向かっているなんて・・・・


         僕は朝からほこりのかぶった参考書開いていた。

         もう一度人生に挑戦してみようと思っていた。


         僕にとって必要だったのは、あの本の先生のような情熱な

         のだ。

          
         情熱とは愛と怒りの入り混じったモノ。


         僕にそれが事業を起こしたときにあっただろうか?


         もう一度やりなおしたい。


         人に情熱を伝えられる人間になりたい。


         
         僕は教育者になる!!




         まずはじめに僕は、ホームページで英語のサイトを作ってみ

         ることにした。


         職もお金もない今の状態で、できることと言ったらそれくらい

         しかなかった。


         あるのは・・・そう、情熱だけ。


         伝えたいことはそれだった。


         僕は教育者として、メッセージを発信し続けた。

         そして、それはだんだんと僕の喜びに変わっていった。

         人の役に立てればいい。そうか・・・・・・


         大切なのはお金だけじゃないんだな・・・・・


         そんな風にも思い始めていた。


         しばらくすると、僕のサイトには人が大勢訪れるようになっていた。


         僕はその人たちとメールのやりとりなどして楽しんだ。






          アルバイトから帰ると、僕は冷蔵庫からビールを取り出した。

          やっぱりちゃんとした職につくべきか?


          はっきり言って、悩んでいた。


          パソコンを開いてみるといつものようにいくつかメールがきて

          いた。僕はそれをひとつずつ丹念にチェックし、返信した。


          人の役に立っていることを感じられる一番のときだ。


          最後のメールにさしかかったとき僕はいつもと違う感覚に

          襲われた。


          それはかつて事業をしていたときに自分がよく感じていた

          感覚に似ていた。




          そのメールにはこのように書かれていた・・・・




          「はじめまして、森様、私、情熱株式会社の代表の坪井と申します。

          あなた様のホームページをいつも、拝見させていただいております。

          つきましては、あなた様にお願いがあります。


          わが社は現在英語教材の開発に取り組んでおりますが、いまひとつ

          成果が芳しくありません。

          そのことでいつも落ち込む度にあなた様のホームページをみさせて

          いただくととても元気になるのです。

          そして私は気づいたのです。


          私にはあなたのその情熱が必要なのだと。
           
          私にはその情熱が不可欠なのだと。

          つきましては、あなた様にわが社にいらしていただきまして、

          商品の開発指導をお願いしたいのですがいかかがでしょうか?」



           前へ        ホームに戻る       次へ