エピソード1〜タカノリの戦い 「あ〜・・・・お腹減ったなー・・・・・・」 とんでもない空腹感・・・・今の状態ならば、とかげさえも食べ物と思い かねない。 そして僕の人生・・・・・ 先の見えない未来・・・・ 暗闇・・・・・・・・光はどこに・・・・? 「・・・・・ねー・・・・ねーってば・・・・死んでるの?・・・・」 なんだか、生ゴミの匂いがする。 気が付くと、僕は自分が昨日まで何をしていたのか思い出そうとした。 今僕がいる場所は、どうやらゴミ置き場らしい・・・・ そうだ!!昨日はハローワークに行った帰りにお酒を飲んで・・・・・・ それから・・・・ ダメだ・・・・記憶がそこらへんからない。 「ねー・・・・お兄さん?名前は?もう大丈夫?」 さっきから、なにやら声がすると思っていたら、僕に声をかけている らしい。 二日酔いの朝にはそっとしておいてほしいものだ。 「えー・・・・大丈夫ですから。」 僕がそういって顔を上げたそのとき、思わず顔をそむけてしまった。 彼女はとても美しい人だった。 しかし、どこか懐かしい感じもした。 彼女も何かに気づいたらしい。 「あのー・・・もしかして・・・・タカノリ君?」 しばらくの沈黙の後に、僕は小さくうなずいた。 あー・・・・風呂に入るのなんていつぶりだろう? 風呂から出た僕に彼女はビールを差し出してくれた。 「何も聞かないのかい?」 僕がそう聞くと彼女は無表情で黙ってしまった。 昔と変わらない。 いや、僕だけは変わってしまったかもな・・・・・・・ 昔の男が浮浪者のようにしていたのをどう思ったのだろう? 昔の男がこんな姿で街をうろついているのが、自分を侮辱され ているようにも思ったのだろうか? 「今は何をしているの?」 彼女は突然口を開いた。 「別に・・・・・見ての通りさ・・・・。」 皮肉っぽく僕は答えた。 彼女とはそれきり口を利かなかった。 僕は無愛想に礼だけ述べて、彼女の家を後にした。 朝日がまぶしい・・・・・ 街を行きかう人々・・・・・サラリーマンやOLがイライラした様子で 小走りに彼らの職場へ向かう。 そのような光景さえも今の僕にはうらやましかった。 今の僕には全てがないように思えた。 事業に失敗して以来、僕は腐ってしまった。 全てを他人のせいにし、人生を呪った。 変わらなければいけないことは分かっている。 しかし、人間そんな簡単にはいかない。 葛藤・・・・・・ ふさわしい概念だ・・・・・ しばらく歩道を歩いていると、本屋をみかけた。 僕はふいに足をとめて中に入ってみることにした。 ホームに戻る 次へ |